「うねり取り手法」と「ショットガン投資法」の違いについて

Stock market concept bull and bear

目次

はじめに

今回の記事から3回に分けて、「うねり取り手法」と「ショットガン投資法」、そして「ショートトレード法」の違いと、それぞれのやり方についてお話しします。

「うねり取り手法」は江戸時代の米相場から代々受け継がれてきたトレード手法であり、これまでに大相場師達が使って莫大な利益を上げてきたトレード手法です。有名なところでは、山崎種二氏、立花証券の父といわれた石井久氏、是川銀蔵氏、林輝太郎先生、立花義正氏などがいます。

このように、「うねり取り手法」は実在の相場師たちによって、効果が実証済みの相場テクニックです。

そして、「ショットガン投資法」と「ショートトレード法」は、「うねり取り手法」をベースにして相場師朗先生が考案したトレード手法です。

以下はこの3つのトレード手法の比較表です。

うねり取り手法ショットガン投資法ショートトレード法
トレードスタイル逆張り順張り順張り
トレード期間1~3ヶ月1~7日1週間~2週間
1度に手掛ける銘柄数1銘柄複数銘柄(3銘柄くらい)複数銘柄(1~2銘柄くらい)
分割売買無し
建玉操作無し

うねり取り手法」は、自分が得意とする1銘柄に絞ってトレードします。「分割売買」と「建玉操作」という利益を最大化させるテクニックを使い、1ヶ月~3ヶ月の一相場(ひとそうば)をトレードします。

ショットガン投資法」は一度に複数の銘柄をトレードして、1日~7日くらいで手仕舞いします。また、この投資法は「うねり取り手法」から派生したトレードテクニックですので、「うねり取り手法」の基本的な知識が必要となります。

ショートトレード法」は一度に複数の銘柄をトレードして、1週間から2週間ほどで手仕舞いします。この投資法もまた「うねり取り手法」から派生したトレードテクニックです。「ショートトレード法」は、数カ月続く大きなうねりで利益を上げるのではなく、小さなうねりを狙って利益を上げて行きます。途中、ヘッジや乗せも行いますので建玉操作のテクニックを使います。

「うねり取り手法」の建玉のタイミングは個人の判断によって変わりますが、「ショットガン投資法」は、「ここぞ」というタイミングでトレードしますので上手い人は同じタイミングで売買することができます。

また、「ショットガン投資法」や「ショートトレード法」は少ない資金でもトレードでき、短期間で手仕舞いしますので、資金効率が良いのも特徴です。

実際、「相場ゼミ」などのセミナーでも、「うねり取り手法」についての講義が一通り終了してから、最後の講義で「ショットガン投資法」や「ショートトレード法」を教えます。

相場先生のセミナーでは、「ショットガン投資法」を学びたいという参加者が多くいたため、これまで2回「ショットガン投資法集中セミナー」が開催されました。

2016年8月21日に東京で行われた「ショットガン投資法集中セミナー」には、私も参加してきました。このセミナーでは朝10時から午後6時まで、途中休憩をはさんで徹底的にショットガン投資法を教わりました。相場先生の説明は論理的(つまり、すべてのトレードには明確な根拠がある)ですので、翌日から利益がだせる即効性のあるテクニックを学ぶことができました。

それでは、それぞれの手法について説明して行きます。まずは「うねり取り手法」からです。

うねり取り手法の例: SUMCO(3436)

「うねり取り手法」では、自分が得意とする1銘柄に集中して、「分割売買」や「建玉操作」をしながら1ヶ月~3ヶ月の期間トレードして利益を最大化させて行きます。

SUMCO(3436)のうねりの形が分かりやすいので、これを例に挙げてご説明します。

このように書くと、わざと都合の良いチャートを選んで説明していると思われるかもしれませんが、実はまったくその通りなのです。わざわざ都合の良いチャートを選んでいるのです。その理由は、やりにくい局面を四苦八苦しながらトレードする必要はないからです。

「うねり取り手法」に適した東証一部上場銘柄は多いのですから、得意銘柄(観察銘柄)からやりやすい局面に差し掛かっている銘柄を見つけて、それを一相場だけトレードすれば良いのです。

まずは月足チャートを俯瞰してトレンドを確認します。直近5ヶ月では下げ止まっているように見えます。さらに、底値は600円辺り(緑の線)が堅いように見えます。

SUMCO month 1

(SUMCO 月足チャート)

次に、さらに直近の傾向を確かめるために週足チャートを見ます。2015年11月に20週移動平均線を抜けて以来(①のポイント)、株価は下げ傾向にありましたが、2016年2月からは底練りに入ってきました。

週足での株価は3月と4月に20週移動平均突破を試みましたが敗れており、5月末になってようやく20週移動平均線の上に出ました(②のポイント)。その後、陰線が連続して出現していますが、「下げても前回の安値付近までだろう」と予測を立てます。つまり、これだけ長い期間底練りを形成しているのだから、ここから上昇する可能性は高いと判断します。逆に600円の底値を割ってくれば、さらに下げると見て空売りを入れます。

SUMCO week  1

(SUMCO 週足チャート)

次に日足で長い期間のチャート(以下のチャート)を見ます。やはり600円付近での底値は堅そうです。

2015年7月に株価は300日移動平均線を割っており、そこから下落傾向にあります。2015年11月(①のポイント)に株価は300日移動平均線に近づきましたが、一度本格的に300日移動平均線を割ってしまったら、そう簡単に這い上がることはできません。この株価の動きの特性を知ってれば、①のポイントでは空売りで利益を上げることができます。

株価はさらに下げて、2016年2月に底を打ち、その後上昇しました。

日足は1月と2月に20日移動平均線上に出てきました。そして、3月、日足はさらに20日と60日移動平均線を越えましたが、再び下落して600円付近で下げ止まっています(4月)。

その後、4月末に日足は再度20日と60日移動平均線の上にでてきましたが、その後また下げました。しかし、今回は前回の安値(600円辺り)まで下げずに、上昇しています。日足が60日移動平均線に頻繁に絡んできただけでは、ここから上昇に転じる確信を持つのはまだ早いですが、ここから大きく下げずに100日移動平均線にトライしてくれば上昇の可能性は高まります。

そして、②と③のポイント(6月)で、約5ヶ月間触ることができなかった100日移動平均線を越えました。しかも同じ月に2回もです。これは大きな「変化」です。この変化を株価上昇の予兆と捉えます。

SUMCO day long 1

(SUMCO 日足チャート)

次に日足の大きなチャートを見ます(普段見慣れている大きさ)。直近の日足を見る限り、どちらに動いてもおかしくないような感じです。しかし、これまでの月足、週足、そして長い期間の日足チャートの分析から、ここから上昇する可能性が高いと見ます。

そうであれば、この先下げてくれば買い下がり、「うねり取り手法」でトレードします。

SUMCO day 1-1

(SUMCO 日足チャート)

翌日の7月6日(以下のチャート)、株価は陰線が出現して下げてきましたので、分割で買い下がって行きます。

SUMCO day 2

(SUMCO 日足チャート)

相場チャートを使ったSUMCOのうねり取りトレード

以下のチャートは、私が相場チャート(注)を使ってトレードした際の売買ポイントを示したものです。

すべての建玉には理由がありますので、他の銘柄でもこのようなチャートパターンが出現した時、私は実際のトレードでこれに近い売買ができます。ただし、「うねり取り手法」は「ショットガン投資法」と違い、売買のタイミングや玉数はその時の感覚によって異なります。

それでは、それぞれの建玉の理由を以下にご説明します。

① 7月7日 0-2(売玉0、買玉2000株)

先述しましたように、株価は底値りを続けており600円の節目は堅そうです。さらには、5月と6月に100日移動平均線を越えた「実績」がありますので、下がったとしても600円だろうと考えて、この日に2000株を買いました。

② 7月8日 0-5(売玉0、買玉5000株)

上記の理由で買い下がる計画でしたので、3000株を追加で買いました。

③ 7月12日 0-7(売玉0、買玉7000株)

11日の陽線が5日線を勢いよく越えてきましたので、ここから底値りを脱して再度100日線を目指すと考えて2000株追加購入しました。

④ 8月5日 0-8(売玉0、買玉8000株)

株価は100日移動平均線を越えて800円の節目の手前まで上昇してきました。5日、20日、60日線が上を向いています。さらに前日の陽線は胴体半分が5日線の上にでており上昇の勢いを感じましたので、5日に1000株追加購入しました。

⑤ 8月17日 2-8(売玉2000株、買玉8000株)

2日連続して日足が5日線を割ってきましたので、ヘッジの空売りを2000株入れました。ここからさらに下げるようであれば、空売りを増やして買い玉を縮小させることになりますが、20日、60日、100日移動平均線が上を向いていますので、もう一日様子を見ました。

⑥ 8月9日 0-10(売玉0、買玉10000株)

18日、20日移動平均線上に陽線がでました。上昇過程において、移動平均線に日足が当たって陽線ではね返した場合、そこから上昇する確率はかなり高いです。なので、株価はここから300日移動平均線を目指すと考えて、2000株を追加で買いました。

⑦ 8月23日 2-5(売玉2000株、買玉5000株)

22日の上ヒゲ陰線を見て、この辺りから一旦下げるかもしれないと判断して、空売り2000株を入れて、買い玉を半分手仕舞いしました。

底値りから上昇したとき、そのまま一気に300日移動平均線を越えるのではなく、その手前で一度押し戻されることがよくあるため、この建玉は妥当だと思います。

⑧ 8月25日 2-0(売玉2000株、買玉0)

前日の24日、陰線で5日移動平均線を割ってきましたので、売り玉はそのままにして買い玉をすべて手仕舞いました。300日線以外の移動平均線はすべて上を向いていますので、ここは空売りで勝負すべきところではないと判断して、空売りの追加はしませんでした。

⑨ 9月1日 2-2(売玉2000株、買玉2000株)

8月30日、31日の2本の陽線が5日線を越えてきましたので、「再度300日線を試すのでは」と考えて、買いを2000株入れました。

⑩ 9月5日 3-2(売玉3000株、買玉2000株)

9月2日の陰線の下ヒゲが5日線を割っていますので、前の高値を越えずに300日線手前で下げると予測して、空売りを1000株追加しました。買い玉はそのまま継続しました。

⑪ 9月6日 3-0(売玉3000株、買玉0)

2日連続の陰線出現ですので、ここから一旦下げると考えて買い玉を手仕舞いします。なお、移動平均線が下から100日、60日、20日と上を向いて並んでいますので、下げは浅いと予測しました。なので、追加の空売りはせずにそのまま継続しました。

⑫ 9月12日 3-2(売玉3000株、買玉2000株)

8日、9日と日足が横並びなってきました。しかも、9日の日足は陽線ですので、60日線辺りで下げ止まると予測して、買い玉を2000株入れました。

⑬ 9月15日 3-4(売玉3000株、買玉4000株)

14日に陽線が出現しており、(13日の陰線も含め)2日連続で日足が上ヒゲながら5日線に絡んできましたので、60日線手前で反転上昇すると予測して、買い玉を2000株追加しました。ただ。ここから上昇するかどうかはまだ100%の確信はないため、空売りは継続しました。

⑭ 9月20日 0-5(売玉0、買玉5000株)

前日、陽線が5日線を越えてきましたので、ここから上昇すると予測して売り玉を手仕舞いして、買い玉を1000株追加しました。

⑮ 9月28日 0-7(売玉0、買玉7000株)

23日と26日に連続して陰線出現で、しかも5日移動平均線を割ってきました。しかしながら、27日の陽線が60日線上で止まっており、下値が切り上がっています。さらに60日線と100日線は完全に上を向いていますので、ここは上昇すると考えて買い玉を2000株追加しました。

⑯ 9月30日 0-8(売玉0、買玉8000株)

予測通り29日に陽線が出現して60日線の上にでてきました。14日と27日の日足でW底を形成しており、上値も切り上げっています。また、株価は800円の節目を保っていますので、ここから再度300日線を試すと予測して買い玉を1000株追加しました。

⑰ 10月5日 0-9(売玉0、買玉9000株)

8月と9月に株価は300日線を試していますが、敗れています。今回は3回目の300日線トライとなります。この時点で300日線以外のすべての移動平均線は上を向いています。しかも、それまで絡み合っていた各移動平均線が解けて、下から100日、60日、20日、5日の並びになってきました。

底値付近で移動平均線がこのような並びになった場合、その後は上昇する可能性が高いため、買い玉を1000株追加しました。

⑱ 10月19日 0-0(売玉0、買玉0)

300日線を越えてから株価は停滞しましたので、この日に利益確定しました。

SUMCOのトレードでいくら儲かったのか?

以下の画像は相場チャートの売買履歴画面のキャプチャです。

以下の画像は相場チャートのチャート画面のキャプチャです。

寄付発注した場合の利益は2,772,000円です。引値発注した場合の利益は3,069,000円です。

順張りと逆張りの使い分けの考察

林輝太郎先生が教える「うねり取り手法」は「逆張り」で行い、「上昇したら買い増ししない」というのがルールです。また、「パイオニア株」のみで一財産を築いた立花義正さんも、著書で同様のことを仰っています。なので、ところどころ順張りで玉を入れているSUMCOのトレードは、彼らのやり方ではNGトレードということになるでしょう。

確かに「うねり取り手法」は基本的に逆張りで行いますが、相場師朗先生が教える「うねり取り手法」では、確信が持てる局面では順張りで追加の玉を入れることはOKとしています。つまり、株価が上昇(下落)するのが分かっていながら何もしないで指をくわえて見ているよりは、平均値に気をつけながら買い増しして行くのが妥当な判断だということです。

自らの強みに集中する

「経営学の巨人」ピーター・ドラッカーの本には、「自らの強みに集中する」というフレーズがよくでてきます。たとえば以下の言葉です。

「不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。まったくの無能を平均以下の水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする」
(「明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命」より引用)

これをトレードに置き換えてみると、自分が得意とする銘柄の得意な局面のみをトレードして利益を積み重ねるということになります。

「うねり取り手法」において、一度に手掛ける銘柄は1銘柄に限定しますが、観察銘柄はいくつも持っていて良いのです。たとえば10とか20の観察銘柄(得意銘柄)を持っていて、その内の一つが利益が取りやすい局面に差し掛かってきたら、その銘柄を一相場だけ「うねり取り手法」で手掛ければ良いのです。

私は過去に同一銘柄を1年間通してトレードしましたが、途中取りやすいところもあれば、非常に難しい局面もありました。私は難しい局面であってもなんとか頑張って(というか、意地になって)取ってやろうと思いトレードしてきましたが、やはり、たいていの場合、そのような局面ではやられました。

難しい局面(私は小刻みな動きをするボックス圏が苦手)を何度も練習すれば、次からはこれまでよりは上手くできるようになります。私にとってはこのような局面で損失を出す可能性が高いわけですから、これを克服する方法は二つあります。

  1. 練習をしてトレードの確度を上げる
  2. このような局面ではトレードしない

スポーツ選手や棋士などは、苦手とするところを克服しない限り相手に勝つことができません。しかし、株式トレードにおいては、手掛ける銘柄を選ぶことができるわけですから、不得意な局面でも利益を得るように努力するよりも、むしろ、そのような局面では手を出さずに、得意な局面では利益を大きく伸ばせるようにする努力をした方が早いと私は考えるようになりました。

ちょっと長くなりましたが、「SUMCOのうねり取り手法」に関する記事は以上です。次回の記事では別のパターンについて書きます。

相場師朗氏が教える「株のうねり取り手法」とは?

相場師朗氏が教える株のうねり取り手法については、以下の記事で詳しくご説明しています。

「うねり取り手法」の技術を究めたい方へ

すでに「うねり取り手法」の知識をお持ちので、さらにトレード技術を上達させたい方には相場師朗氏主宰の「株塾」がおすすめです。詳細を知りたい方は、以下の記事をお読みください。

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