三菱ケミカルの日足チャートを読んでみる
前回の記事からご紹介しているリーディング練習とは、その名の通り株価チャートを左から読んで行く練習のことです。
やり方は簡単です。以下の三菱ケミカルの日足チャートを例に挙げてやってみます。
それでは三菱ケミカルのリーディングを行って行きます。
株価は1050円を超えようと何度もトライしているが、越えられない。3回目のトライでは前の高値と60日線(青)に届かず下落。
株価は900円の節目まで下げてW底を形成して上昇に転じる。20日線(緑)、60日線を超えて100日線(紫)を目指すが、一気に3本を超えることはできず、1000円の節目手前で下げる。
その後950円で下げ止まり、上昇する。この時、前の安値と高値を切り上げている。
株価は1000円を少し超えて下落する。しかし、前の安値まで下げずに上昇。今回は300日線も越えてきた。しかしながら、1100円の節目を少し超えて下落した。
株価は20日線、60日線、100日線も割り込んだ。950円まで下げてチョイ上げするが、7日線(黒)に当たって再び下落。
答えを先に見て頭の中にトレードの「回路」をつくる
前項でご紹介したリーディング練習は、株価チャートを表示させて見えた状態で行います。
なかには「見えた状態で練習して上達するのか?」という疑問を抱く人もいることでしょう。ですが、「答え」が見えた状態で行うことで、頭の中に「トレードの回路」が出来上がります。
もう一度三菱ケミカルの日足チャートを見てみます。以下のチャートの中にはいくつかの売買ポイントがありますが、私は特に①~③のポイントで利益を上げたいと思いますね。ここを取れたらいいですよね。
それでは次にどうやればこれらのポイントで利益を上げることができるのかを考察します。まずは①のポイントからです。
①のポイントで利益を上げるためには・・・
①のポイントに差し掛かる過程を詳細に見て行きます。
株価は1000円と1050円の間で上げ下げしていました。そして6月に入り株価は前の安値を下回りました。
その後陽線が出ますが緑に届きません。この時すでに青と緑は下を向いています。そしてそれまで離れていた黄緑、黒、赤、ピンクが重なるようになってきました。この4本線が重なってきたらそれまでのトレンドは一旦終了です。
その後株価は横ばいになりますが、やがて線の順番が入れ替わり上から黄緑、黒、赤、ピンクになります。そしてこの4本線は下を向き始めます。この時点で株価は前の高値を越えられませんでしたので、下落します。
このことから分かるのは以下の特徴です。
- 株価が紫と青の下にある間は買いでは勝負せずに、売りで勝負した方が有利
- 高値が切り下がると株価は下落する
- 節目近辺ではトレンドが転換することがある
- 黄緑、黒、赤、ピンクが交差したら、次はどちらかに振れる
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束が向いている方向に株価は動く
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束がばらけている間は下げ止まらない
ということは、これらの特徴を把握しておくと、このような下げを取ることができますね。
次に、日足のチャートの流れを支配する週足チャートを見てみます。
チャート右端は2018年6月8日(金)の週足です。この週足チャートの右側を一瞥しただけでいくつかの点に気づきます。
- 緑の20日線が下を向いている(緑の下に黒、赤がある限り株価は上昇しない)
- 直近3週間の線組を見ると高値が切り下がってきている
- 株価の方向を示す黄緑、黒、赤、ピンクが下を向き始めた
日足、週足に共通している重要な判断材料は「移動平均線の傾き」と「高値切り下がり」です。
つまり、週足チャートでこれらの変化が表れたら翌週は下落トレンドに入ると予測し、日足で空売りのタイミングを計れば大きな利益を上げることができます。
週足チャートで翌週の傾向を判断して、次に日足で最終チェックを行ってトレードすれば、上手く行って大きな利益、失敗して少しの損失で抑えることができますよね。
②のポイントで利益を上げるためには・・・
②のポイントでは、上から黄緑、黒、赤、ピンクの順番だったのが、下値を切り上げて反転して順番が入れ替わりました。そして、下から黄緑、黒、赤、ピンクの順番になりすべて上を向き始めました。
また、株価は青の60日線の上をキープしていますので、上昇傾向は崩されていません。
このことから分かるのは以下の特徴です。
- 株価が青と紫の上に出てくると上昇力に勢いが増す
- 黄緑、黒、赤、ピンクが交わってくるとトレンドの転換が起こる
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束が切り上がってくると上昇する
- 下値切り上がりは節目で起こることがよくある
- 黒、赤、ピンクの束が黄緑の上に来ると上昇トレンドに入る
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束が向いている方向に株価は動く
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束がばらけている間は下げ止まらない
- 上昇後、節目付近で陰線がちになり赤とピンクが交差したら手仕舞った方がよい
下落が終わり上昇に入る時は、このような変化が表れるということを理解していれば、このような上昇で利益を取ることができます。
次に、週足チャートを見てみます。
チャートの右端は2018年9月14日(金)の週足です。チャート上にいくつかの特徴を書きましたが、重要なのは「線の集中」と「切り上がり」、そして「線の順番の入れ替わり」です。
黄緑と黒の関係を見てみますと、黄緑の下に黒がある間、株価は下落します。また、黄緑の上に黒がある間、株価は上昇します。
9月14日時点の週足を見てみますと、黒、赤、ピンクの束は黄緑の上に来ています。ということは翌週以降は上昇トレンドに入る可能性があることが分かります。
実際、9月14日の日足チャート見てみますと、黒、赤、ピンクの束は反転して上を向いています。さらに株価の下値と線の束は切り上がっていますので、これらのシグナルを勘案して自信を持って買いを入れることができますね。
③のポイントで利益を上げるためには・・・
最後に③のポイントです。この暴落を空売りで取れたら気持ちがいいですよね。
それでは、この暴落の場面を詳細に見て行きます。
約3週間上昇して1100円の節目を越えてきましたが、すべて陰線で上ヒゲが出ており日足が横並びになっています。その後、小さな窓を開けて陰線で下落して、ピンク、赤が反転して黒を上から割ってきました。
1100円を割り込んだ最初の陰線は実体が5日線を割り込んでいますので、相場先生が言うところの「逆下半身」という技が使える場面となっています。
さらに陰線が連続して出現して、黒、赤、ピンクの束は黄緑を割り込み、そして300日線も割り込んできました。黒、赤、ピンクの束がばらけている間は下げ止まりません。
下落9日目でチョイ上げしますが、黒の方向は下を向いたままで変りません。そして、その後さらに陰線が出現して下落します。
となると、この場面で空売りで利益を上げるためには以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 節目付近で陰線がちになり、ピンクと赤が反転したらトレンドが変わる兆しとなる
- 逆下半身がでたら下落のサインとなるので空売りを入れる
- 赤とピンクが黒を割り込んだらそれまでのトレンドは終了
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束が下を向いたら下落トレンドが始まる
- 逆下半身で最初の空売りを入れた後、上記のサインを確認したら追加で空売りを入れる
- 黒、赤、ピンクが重なってきたら手仕舞いする
次に、週足チャートを確認して下落トレンドの兆候を考察します。
以下は下落トレンドが始まった時の週足チャートです。一瞥しただけでは、ここから下げる確信を持つのは難しいかもしれません。上ヒゲ陰線がでてますので翌週の日足の動きを注意しながら追って行く必要があります。
参考までに、この日の日足はこのような形です。日足では陰線のロウソク足が赤と黒を割っていますので、ここで打診売りを入れることができます。その後、黄緑、黒、赤、ピンクの束が下を向いてくると追加の売りを入れることができます。
以下は翌週の10月12日(金)の週足です。逆下半身が出ていますので、翌週も下落トレンドが継続することが予測できますよね。
もし最初下落(10月5日以降の第一波の下落)で入り損ねても、この週足逆下半身の出現で前の高値を越えられない可能性が出てきましたので、翌週の日足を観察して第二波の下げを狙うことができます。
翌週の月曜日の日足は以下のようになります。
この日足を見て「これほど下落したのだからそろそろ上昇するだろう」と思うか、あるいは、「黄緑、黒、赤、ピンクがばらけた状態で下を向いているのでまだ下げる」と判断するか、迷うところです。
判断材料としては、この日以降に出現する日足の線組です。チャートを多く見ているとよく目にするのが、以下のパターンです。下げ途中、チョイ上げした後に下値寄付きの陰線が出現するパターンです。これが出た場合下げます。
このように週足と日足の動きを丹念に考察して行くと、株価の動きは決してランダムウォークではなく、一定の法則に従って動いていることが分かります。
勝つために絶対に忘れてはならない3つのポイント
色々と書いてきましたが、結局のところ株で利益を上げるために注視すべき点は以下だと思います。
- 移動平均線の傾きと順番
- 高値切り下がり(売り)(逆日大、もの別れ、トライ届かず、バルタン)
- 下値切り上がり(買い)(日大、もの別れ、W底、逆バルタン)
この3つを忘れずにトレード判断を下せば、たとえ失敗しても大きくやられることはないと思います。
あと補足すると、①株価が青の上にある時は強く、下にある時は弱い、②黄緑、黒、赤、ピンクの束の向きに注視する、③この4本が緑の下にある間は下落基調、④この4本が緑の上にある時は上昇基調、⑤9の法則で手仕舞い、または、⑥黒、赤、ピンクの交差で手仕舞い、ということですね。
リーディング練習は地味で単調なことの繰り返しですが、この地道な努力はすべて「お金」に換わりますので、やらないと損です。
リーディング練習は毎日行う
「リーディング練習」は単調な練習です。単調な訓練の繰り返しは結構忍耐力を必要とします。目的意識を持って取り組まないと、途中で手抜きをしてしまいがちです。
ですが、この「単調な訓練の繰り返し」は、のちに驚くべき効果を発揮します。
やり始めの頃は「こんなことを毎日やっていて本当に上達するのか?」とか「チャートが見えている状態で練習して効果があるのか?」と不安になってくるかもしれません。実は私もそのように思っていました。
しかしながら、あとになって思えば、そんな事は杞憂に過ぎませんでした。
リーディング練習を行う際のチェック項目
リーディング練習は単調なことの繰り返しです。練習を継続しているうちに、やがて本来の目的である「変動感覚の向上」を忘れて、単なる「作業」になってしまうこともあります。
このように言う私もやり始めてしばらくしてからは、リーディング練習が「単調な作業」となっていた時がありました。
しかしながら、相場先生の動画を何度も視聴してチェックすべきポイントをしっかりと理解して、それらを意識しながらリーディング練習を行っているうちに、ようやく「理解できた」感じがしました。
以下は私がリーディング練習を行う際に意識しているポイントです。
- 移動平均線の傾き
- 移動平均線の位置と順番
- 移動平均線の順番の入れ替わり
- 日足、週足と移動平均線との位置関係
- A、B、C局面での株価の動きの特性
- 節目での株価の動き
- 日柄(3か月、6カ月)
- 7の法則
- 底値圏と天井圏での株価の動き
- 中間の位置での株価の動き
- どの局面でどの技が有効か
以上のチェックポイントを意識しながらリーディング練習を行うと、得意な局面と得意技が見つかります。また、改善点が明らかになりますので、リーディング練習が「作業」になることがなく、本来の「上達のための練習」になります。
単調な練習を繰り返すのは退屈なものですが、「これをやれば上達するのだ」という目的意識があると継続できるものです。
リーディング練習は驚くべき効果をもたらす
私はリーディング練習を毎日継続してきたことで、本当に「変動感覚」が養われました。そして何よりの収穫は「得意技を持つことができた」ことと、「得意な局面が来るまで待つことができるようになった」ことです。
この2つができるようになったのは、日足と週足、そして移動平均線の微妙な動きから、先の先の動きが段々と読めるようになったからです。
私は「玉の長持ち」と「ポジポジ病」という悪い癖を持ってました。つまり、正しいところでエントリーしても手仕舞いのタイミングを外していたり、分からない局面でもついついトレードしてしまっていたのです。
このため、せっかく利益を上げても、その後のダメトレードで利益を溶かしていたのでした。
ですが、リーディングの確度が向上したため、このようなミスをすることがなくなりました。そして、結果として利益が増えました。これは私にとって驚くべきほどの上達でした。
記事中で使っている専門用語について
今回の記事ではいくつかの専門用語を使っています。
A、B、C局面、日大、逆日大、もの別れ、トライ届かず、バルタン、逆バルタン、9の法則などです。
- A局面:下落局面
- B局面:ボックス局面
- C局面:上昇局面
- 下半身:陽線が体半分以上が赤の5日線上に出る状態
- 逆下半身:陰線の体半分以上が赤の5日線の下に出る状態
- 日大:底値からの下値を切り上げ
- 逆日大:天井からの高値切り下げ
- もの別れ:上昇途中(または下落途中)に株価が移動平均線に接近した後、再び上昇(下落)すること
- トライ届かず:高値切り下げ
- バルタン:トリプルトップに似た形
- 逆バルタン:W底
- 9の法則:ロウソク足9本目でトレンドに変化が表れること
これらの専門用語の詳しい解説は、相場先生の以下の本をご参照ください。
次回の記事では、今回のリーディングで得た気づきの中から、移動平均線の傾きと順番について考察します。