下落トレンドの始まりを分析する
比較的楽に利益が取れる上昇トレンドと違い、下落トレンドの初動を捉えることは難しいです。その理由は、一度下がったとしても「まだ上昇する」と思っている人が買いを入れるため、再上昇する場合があるからです。
しかし、下落のスピードは上昇の3倍速いですし、1年の半分は下落トレンドですので、ここをトレードしないのはもったいないです。
そこで下落トレンドの初動を的確にとらえるために、私は週足を分析することにしました。週足で下落のサインを見つけて、日足で下落のタイミングを特定して行くという分析です。
今回の分析では、私が頻繁にトレードしている日本精工を例に挙げます。
※記事中で使っている「逆N大」と「もの別れ」の説明については、以下の記事をご参照ください。
週足がどの形になれば下落の目印となるのか?
下落トレンドの始まりの目印は2つあります。
一つは目は、週足のロウソク足が赤の5週線に対して「逆下半身(※)」になっていることです。
二つ目は、株塾で「トライ届かず」と呼ばれる、高値切り下がりのタイミングです。これはその名の通り、前の高値越えにトライしたが越えられずに下げたところです。節目や上位の移動平均線を越えずに下げたところも目印になります。
ただ、これだけで下落トレンドを判定するのは困難ですので、日足でさらに下落のタイミングを計る必要があります。
※逆下半身:ロウソク足の半分以上が5週線の下に出ている状態のこと。
2018年1月~2019年5月の下落トレンド
2018年1月~2019年5月の期間では、5つの下落局面があります。それぞれの下落の起点となる場所に、赤丸で印をつけました。
この期間の下落トレンドの始まりの形は、以下のようになっています。
- ① 逆下半身
- ② 逆下半身+トライ届かず
- ③ 逆下半身+トライ届かず
- ④ 逆下半身
- ⑤ 逆下半身
- ⑥ 逆下半身+トライ届かず
①の下落トレンド
ロウソク足が赤の5週線に対して逆下半身になっています。これだけでは下落トレンドの確信を持つことはできませんので、日足でタイミングを計ります。
週足逆下半身の翌週以降、日足が緑の下で逆N大を形成しました。「週足逆下半身+日足逆N大」の組み合わせはかなり信頼できますので、ここで空売りを入れることができます。
その後は9の法則で手仕舞うか、赤、ピンクの交わりで手仕舞いします。
②の下落トレンド
②はチョイ上げして3週間横ばった後に逆下半身になった場所です。翌週以降の日足を見てみると、こちらも逆N大を形成した後、窓を開けて下落しました。このタイミングで空売りを入れることができます。
その後は6月初めの赤とピンクが交わったところで一旦手仕舞いして、さらに下げたところで空売りを入れ直すことになります。
③と④の下落トレンド
③は週足でオレンジを割り込んだことと、逆下半身が下落トレンドの目印です。
日足ではすでに緑、青、紫の下で株価が推移しており、横並びの陽線が数本出た後にチョイ上げして青を越えずに下落しています。この一連の動きが逆N大を形成しています。
「週足逆下半身+日足逆N大」ですので、空売りで勝負できます。
④は「週足もの別れ+逆下半身」となっていますので、下落が続くことが予測できます。翌週以降の日足では、③と同様に逆N大になっていますので、1000円の節目を割り込んだところで空売りを入れることができます。その後、9の法則か900円の節目で手仕舞います。
⑤と⑥の下落トレンド
⑤は緑の下で週足逆下半身となっていますので、翌週以降の下落が期待できます。しかし、ここまで大きく下げてきていますので、積極的に空売りで勝負することろではなさそうです。
ただ、翌週以降の日足では逆N大になっていますので空売りで勝負したくなりますね。
週足の⑥において、株価は青まで上昇ましたが、青と1200円の節目を越えることができずに陰線になりました。ここは下げてきた株価がはじめて青まで上昇したところですので、一気に青を超えることはないと予測するのがセオリー通りです。従って、日足で株価が緑を割ったら空売りを入れるのが正しい戦い方だと思います。
翌週以降の日足を追ってみると、株価はオレンジを超えることができずに下落して緑を割り込んできました。逆N大の形になっていませんので空売りを入れづらい場面ですが、1150円付近の高値(星印のついた緑の線)を割り込んだらまずは空売りを入れてみる。そして予測に反して上昇してしまったら建玉の操作で乗り切る、といった感じでいいと思います。
2016年5月~2017年8月の下落トレンド
2016年5月~2017年8月の下落トレンドの始まりの形は、以下のようになっています。
- ① 逆下半身+もの別れ
- ② 逆下半身
- ③ トライ届かず
- ④ トライ届かず+逆下半身
①の下落トレンド
この下落トレンドは、週足では「逆下半身+もの別れ」の形になっています。しかも、移動平均線の順番は上から紫、青、緑、赤となっており、弱い並びです。
従って、日足で翌週以降の動きを観察して、逆N大の形になったら売りを入れることができます。
②の下落トレンド
週足逆下半身の翌週以降の日足の動きは、①と同様に②の場所でも逆N大を形成した後に下落トレンドに入っています。
③と④の下落トレンド
③の週足では、ロウソク足の実体が1600円を超えることができずに陰線となっています。週足から読み取れる下落のサインは「トライ届かず」のみです。
翌週以降の日足を見てみますと、株価はいきなり紫と緑を割ってきました。
ただ、ここは逆N大を形成していないので、逆N大の目印を待っている間に下落が終わってしまいます。また、移動平均線順番が上から青、紫ですので、「弱い順番」ではありません。ここは明確な目印がないところですので、手を出さない方がいいかもしれませんね。
④の週足は「トライ届かず+逆下半身」ですので、翌週以降の下落トレンドの予測が容易にできます。翌週以降の日足を見てみますと、青まで下げた株価は緑まで少し上げますが、その後は逆N大を形成して下落しています。
まとめ
今回の考察で分かったことをまとめますと、以下になります。
- 週足で逆下半身となり、日足で逆N大となれば売りで勝負できる
- 週足でトライ届かずになり、日足で逆N大になったら売りで勝負できる
- 週足、日足ともに株価が青を割ってきたら下落に加速がつく
つまり、下落トレンドで勝負するステップは、
①週足で逆下半身、またはトライ届かずを見つける ⇒ ②日足で株価が緑の下で逆N大になったら空売りを入れる ⇒ ③9の法則か赤、ピンクの交差で手仕舞いする、となります。
次の記事では日本水産の下落トレンドを分析しています!