下落トレンドで利益を上げるための手順
前回の記事では、下落トレンドの兆候を見極めるためには、以下の特徴を見つけると上手く行くことが分かりました。
- 週足で逆下半身となり、日足で逆N大となれば売りで勝負できる
- 週足でトライ届かずになり、日足で逆N大になったら売りで勝負できる
- 週足、日足ともに株価が青を割ってきたら下落に加速がつく
そして、下落トレンドで利益を上げるステップは、
①週足で逆下半身、またはトライ届かずを見つける ⇒ ②日足で株価が緑の下で逆N大になったら空売りを入れる ⇒ ③9の法則か赤、ピンクの交差で手仕舞いする、となります。
今回の記事では、銘柄を変えて同様の分析をしたいと思います。
日本水産の下落トレンドの分析
2017年11月から2019年8月までの下落トレンド
以下は2017年8月から2019年8月までの日本水産の週足チャートです。下落トレンドの起点に赤丸をつけました。すべての下落トレンドの起点は、株塾で教えている「週足逆下半身(※)」という形になっています。
(※)週足逆下半身:陰線の体半分以上が赤の5週線の下に出る状態。この時、赤の5週線や黒の7週線が急角度で上を向いていないことに注意する。
それでは①から⑥の下落トレンドを、日足チャートを使って詳細に分析して行きます。
①の下落トレンド
以下の日足チャートの赤で囲んだ場所は、週足で赤丸をつけた翌週以降の下落局面です。日足はすでに緑と青の下にあり、移動平均線の並びも緑、草(黄緑から草色に変更)、黒、赤、ピンクの順番に入れ替わっています。この順番である限り上昇はあり得ませんので空売りで勝負できる場面ですが、9の法則に注意する必要があります。
②の下落トレンド
移動平均線の順番は、上から青、紫、草、緑、黒、赤、ピンクとなっています。青と紫の間隔が狭く、このまま下落が続くと順番が入れ替わる距離にあります。さらに、草、黒赤、ピンクの束は下を向いており、緑を上から割り込む角度です。
草、黒赤、ピンクの束が緑を割り込んでくると、下落の確信がより高まります。この4本線の束が緑の下に入ってくると、逆N大の形を形成して本格的に下落トレンドに入ることがよくあります。以下の赤枠の場所では、逆N大になっているところが3か所あります(赤丸)。
ここで大量の売り玉を持っていると逆N大のチョイ上げでビビってしまいそうですが、移動平均線の並びが弱い順番になっており、しかも高値が切り下がってきていますので、ここはヘッジを入れるなどしてしのぎたい場面です。
③の下落トレンド
移動平均線の順番が緑、草、黒、赤、ピンクとなっています。緑と草の距離を考えると、すぐに上昇することは考えにくいです。従って、陰線が出たら空売りで勝負したい場所です。
④の下落トレンド
翌週以降の日足はなかなか興味深い動きをしています。紫と青は依然として上を向いていますが、緑は下を向いています。ロウソク足は青と緑の下に入ってきました。株価は紫の手前まで下げてチョイ上げしますが、緑を越えられずに下げました。ここで逆N大を形成しています。
下落トレンドに入る目印は「週足逆下半身+日足逆N大」ですので、ここは自信を持って空売りを入れることができます。
⑤の下落トレンド
こちらは④の下落トレンドとよく似ています。ロウソク足が下を向いている緑の下に潜り、青まで下げた後にチョイ上げしますが逆N大を形成して下落します。これは空売りの鉄板パターンですね。
⑥の下落トレンド
前週の金曜日の時点でロウソク足は下を向いている紫、青、緑の下にあり、高値も切り下がってきていますので、ここは空売りで勝負できますね。空売りを入れた後の大陽線でビビってしまいそうですが、各移動平均線の間隔を考えますと、ここから一気に上昇する可能性は低いです。
2016年2月から2017年8月までの下落トレンド
以下は2015年8月から2017年8月までの週足チャートです。こちらも下落トレンドの始まりに丸印をつけました。すべての下落トレンド始まりは、「週足逆下半身」の形になっています。
①の下落トレンド
週足逆下半身の翌週の月曜日は大陽線で始まりました。この陽線を見た翌日に空売りは入れにくいと思います。従って陽線の次の陰線を見て、その翌日に空売りを入れるのが現実的だと思います。また、①の下落の始まりをよく見ると、逆N大の形になっているのが分かります。
手仕舞いは9の法則を使うか、または、赤とピンクの交差で手仕舞いです。
②の下落トレンド
ロウソク足はすでに緑、青、紫の下にありますので、迷うことなく空売りを入れる場面です。さらに言えば、青と紫の位置と傾きを見ると、このまま下落が続けば青が紫を上から割り込んでくる位置にあります。そうなると上から紫、青、緑の弱い順番になります。
③の下落トレンド
翌週の月曜日は陽線ですが、その翌日は陰線です。この数日間の線組を見ると緑の下で逆N大を形成していますので、ここは自信を持って空売りで勝負できる場面です。
④の下落トレンド
翌週の月曜日は緑の下で大陰線が出ましたが、この時、青がまだ上を見ていますので、その翌日から陽線が出て上昇しています。その後、緑まで上昇しますが越えられず、逆N大を形成して下落しました。ここも空売りで勝負できますが、すぐ下に紫がありますので、大量の売り玉で勝負しにくい場面です。
まとめ
今回の記事では、日本水産における約3年半の下落トレンドを分析しました。
冒頭で述べた通り、やはり「週足逆下半身+日足逆N大」の組み合わせは成功率が高いですね。
天井付近では、一度下がったとしても「まだ上昇する」と思っている人が買いを入れるため、再上昇する場合がよくあります。そのため上昇力が相当に弱まったところで空売りを入れないと、上に持って行かれてしまいます。
そのリスクを軽減するために週足で下落の予兆を捉えるやり方は、非常に効果的です。
次の記事では、国際石油開発帝石の下落トレンドの始まりを分析しています。