使う道具は「移動平均線」のみ
これまでにもお話していますように、相場師朗先生のトレード手法は大変シンプルです。使う道具は「移動平均線」のみです。
そして、相場先生がトレード判断を下すのに勘案する材料は「日足」「週足」「月足」「移動平均線」「前の高値・安値」「日柄」「新値の本数」、そして「節目」です。たったこれだけの材料を基にトレード判断を下して利益を上げて行きます。
そこで重要になってくるのが株価チャートを正確に読み取る能力です。この能力を鍛えるために有効なのが「リーディング練習」です。
株価は上げ下げを繰り返している
私にとってリーディング練習は朝食後に行う日課となっています。当たり前ですが、やればやるほど理解が深まってきます。
これまで気づかなかった株価の細かな動きが、練習を重ねるたびに見えるようになってきます。
相場先生はラジオ番組や教材の中で「株価は上げ下げを繰り返している」と度々仰っています。この言葉をさらりと聞き流していては非常にもったいないです。なぜかというと、ここに儲けの大きなヒントが隠されているからです。
株価が上げた後は下げる・・・が、その下げはどこまでか?
株価が下げた後は上げる・・・が、その上げはどこまでか?
これらをよく観察して行くと面白いことが分かります。
以下は日立金属の日足チャートです。株価は①の底値から上昇して100日線を越えた後に下落しますが、前の安値①まで下げずに上昇しています。そして1300円の節目で一旦下落しますが、前の安値②まで下げずに上昇しています。
その後、株価は1400円を少し超えたところまで上昇しています。その後、株価は下落して300日線と20日線を割り込みますが、前の安値③までは下げずに60日線で下げ止まります。
そして、株価は上昇しますが前の高値④まで上昇せずに20日線に当たって下落します。
このように株価は上げ下げを繰り返していますが、前の安値まで下げずに上昇したり、前の高値まで上昇せずに下落したりします。私たちはこのような株価の動きの特性を利用して利益を上げて行きます。
以下は日立金属の別の期間の日足チャートです。こちらは上のチャートとは反対の動きをしています。
株価は1400円の節目を割ったあと、さらに下げてきて1300円も割り込んできました。その後、株価はチョイ上げしますが1300円を超えずに下落しました。そして株価は1200円手前で下げ止まり上昇しました。
次は前の高値②を越えて1400円まで上昇しました。株価は節目を超えることができずに下げましたが、前の安値③まで下げずにチョイ上げしました。しかし、前の高値④まで上昇せずに下げました。次は前の安値⑤を割り込み、1200円の節目まで下げました。ここでチョイ上げしますが、前の高値⑥まで上げずに下落しています。
そして、⑦で赤、ピンクの順番が入れ替わりますが、短い期間でチョイ上げ、チョイ下げをして6月上旬の高値に届かず下落しています。
以上、株価の上げ下げを見てきました。ここで以下の3つの株価の動きの特性に気がつきます。
- 前の安値を切り上げてきたら上昇する
- 前の高値に届かなかったら下落する
- 株価が節目に差し掛かったら動きに変化が表れる
先述しましたように、相場先生のトレード手法では、これらの特性を使って利益を上げて行きます。そして使う道具は「移動平均線」のみです。シンプルなやり方ですので、練習すれば誰にでもできるようになります。
もっと詳しく見て行くと・・・
前項でご紹介した日足チャートを詳しく見ると、さらにおもしろいことが分かります。
日足の線組を紫のクレヨンでなぞってみると、こちらも上げ下げを繰り返しており、上記の特性に合致した動きになっています。
こちらの期間も同じです。
やはり株価というのは前の安値まで下げなかったら上昇して、反対に、前の高値まで届かなかったら下げる特性を持っていますね。
底値でW底を形成した後は株価が反転上昇しますが、これも同じ特性ですね。
重なった後の離れ際を狙って取る
移動平均線の傾きと順番の入れ替わりをじっくり観察すると、株価の流れがよく分かります。
下から黄緑、黒、赤、ピンクの順番になっている時、株価は上昇しています。その反対に、上から黄緑、黒、赤、ピンクの順番になっている時、株価は下落しています。
そしてこの4本線が重なって順番が入れ替わったら、株価のトレンドは一旦終了しています。トレンドの長さによっては4本線がきれいに重ならない場合がありますが、黒、赤、ピンクの3本が重なった後はある程度の値幅が動いています。
上の2つのチャートからも分かるように黄緑、黒、赤、ピンクの束が向いている方向に玉を入れると利益が取れますよね。そして、黄緑、黒、赤、ピンクが重なった後、黄緑からの離れ際を狙って行けば上手く取れそうです。
そして、ピンクが赤と交わったら手仕舞いとなります。
ただし、毎回このように移動平均線がきれいに重なるわけではなく、以下の三菱ケミカルのチャートのようにばらばらの時もあります(赤丸)。
あとになってみれば赤丸のところで空売りを入れられそうですが、実際のトレードにおいては「空売りを入れた後に上昇するんじゃないか?」と思い、躊躇してしまうと思います。
しかしながら、移動平均線の順番をよく見てみると下から紫、青、緑・・・となっており、一番上昇力が強い並び(※)ではありません。
従って、赤の下にピンクが来て、黒の下に赤、ピンクが来た時点で株価上昇における移動平均線の順番は崩れていますので、下落を予測することができます。ここで空売りを入れた後は、赤とピンクが交わった時点で手仕舞いです。
今回の記事のまとめ
今回の記事では移動平均線の傾きと順番を考察しました。前回の記事同様に、今回の考察でも以下のことが明らかになりました。
- 黒、赤、ピンクが重なってそれまでのトレンドは一旦終了
- 黒、赤、ピンクが重なったあとは新たなトレンドに入る
※黄緑、黒、赤、ピンクの4本線が重なる場合もある。
そして、以下の2つの条件を満たしている時にトレードすれば、確度の高い売買ができるということも分かりました。
- 移動平均線の切り上がり、切り下がり
- 移動平均線の重なった後の順番の入れ替わり
ということは・・・、
- 黄緑、黒、赤、ピンクの転換点を見極めてトレードすれば取れるということ
最後の三菱ケミカルは少し難しい例ですが、まずは以下のステップでトレードすれば失敗は少なくなるはずです。
- 【ステップ1】直近の下値切り上がり(買い)、高値切り下がり(売り)
- 【ステップ2】黒、赤、ピンク(または黄緑、黒、赤、ピンク)の重なり
- 【ステップ3】この4本の束が緑の上にある(買い)、緑の下にある(売り)
- 【ステップ4】移動平均線の順番の入れ替わり(買い:下から黄緑、黒、赤、ピンク)(売り:上から黄緑、黒、赤、ピンク)
- 【ステップ5】移動平均線が重なったあとの離れ際を狙う(4本線がばらけた方向に玉を入れる)
- 【ステップ6】「9の法則」か「ピンクと赤の交差」で手仕舞いすると決めておく
あまり複雑に考えずに、このようにシンプルに考える方が上手く行くと私は思います。
次の記事では誰にでも狙える鉄板場面を紹介しています!