2014年に最も成功したヘッジファンドマネジャーの報酬は僅か○○ドルだった!
アメリカの経済誌のFortune電子版を読んでいたところ、2014年度のヘッジファンドマネジャーの報酬ランキングに目がとまりました。
昨年度、一番稼いだヘッジファンドマネジャーは、シカゴに本社を置くCitadelを率いるKen Griffin氏で、その額は$1.3 billion(1ドル100円計算で1,300億円)だったそうです。
私が驚いたのは稼いだ金額ではなく、記事のタイトルの方です。
原文のタイトルでは“The highest paid hedge fund manager only made $1.3 billion last year”(昨年、最も稼いだヘッジファンドマネジャーの報酬は“たったの$1.3 billion”だった)だということです(Fortuneより引用)。
日本人の感覚からするともの凄い金額ですが、2013年度に最も成功したヘッジファンドマネジャーであるジョージソロス氏の報酬額は$4 billion(約4,000億円、1ドル100円計算)でしたので、これと比較すると「たったの」$1.3 billionなのでしょう。
ケン・グリフィン氏に次いで2位に輝いたのは、この手のランキングの常連であるJames Simmons氏です。同氏の報酬額は$1.2 billionだったそうです。
同記事によりますと、2014年度はヘッジファンドにとって単に悪い年だっただけでなく、史上最悪の年のひとつだったようで、ヘッジファンドマネジャーが手にした報酬額は2008年度と同レベルだったそうです。
平均報酬額は7 million(約467億円)
Fortuneの記事によりますと、上位25名のヘッジファンドマネジャーの平均報酬額は$467 million(1ドル100円計算で約467億円)だったそうです。
これらの上位ヘッジファンドマネジャーが手にした報酬の総額は$11.6 billionだったそうですが、この額は2013年度に上位ヘッジファンドマネジャーに支払われた報酬の約半分だったそうです。
ヘッジファンドのインデックス(指標)にもよりますが、2014年度の平均リターンは僅か3%で、これは2013年度の平均リターンであった7%の半分以下です。
説明するまでもありませんが、これらのリターンは年利であり、月利ではありません。この程度のリターンで、これだけの高額報酬を手にすることができるですから、ヘッジファンドの運用など特別な才能がなくてもできそうな気がしてなりません。
以前の記事でも書きましたが、年々ヘッジファンドのアルファ値が低下しています。つまり、これはヘッジファンドマネジャーの腕による収益率が低下していることを意味します。
相対収益を追求する一般の投資信託と違い、絶対収益を追及するヘッジファンドは、一定レベル以上のリターンを上げることを投資家から要求されます。
2014年度、S&P500インデックスは14%上昇しました。一方、ヘッジファンドの平均リターンはたったの3%でした。
S&P500のリターンを大きく下回っているのですから、巨額の報酬を手にするのではなく、むしろそれまで得た報酬の一部を返上しても良いのではないかと私は思ってしまいます。
報酬が大幅にカットされたヘッジファンドマネジャーも・・・
Appaloosa ManagementのDavid Tepper(デイビッド・テッパー)氏の例を挙げますと、同氏は2013年度に$3.5 billionの報酬を受け取り、高額所得者の一人でした。
それもそのはず、同年、David Tepper氏のファンドは42%という驚異的なリターンを叩き出しています。
しかし、2014年度のリターンは僅か2.2%で、同氏が受け取った報酬も$400 millionで、2013年度に受け取った報酬額からは大きく下がっています。
しかしながら、Fortuneの記事では、「$400 millionでも多いくらいで、正当な報酬額は$175 millionくらいだろう($3.5 billionの5%)」と伝えています。
これらのヘッジファンドに投資している投資家は、このFortuneの記事を読んでどのように感じているのか知りたいものです。