驚異的な収入を得る世界のトップヘッジファンドマネジャー
今日はちょっと趣を変えてヘッジファンドについて書きたいと思います。
フォーブス誌に、2013年の世界のヘッジファンドマネジャーの収入ランキングが掲載されていましたのでご紹介します。
この記事によりますと、2013年に最も稼いだヘッジファンドマネジャーはジョージ・ソロス氏とのことです。22%以上のリターンを叩き出し、手にした金額は何と$4 billion(約4,000億円、1ドル100円計算)でした。
ソロス氏の次に最も稼いだのが、元ゴールドマンサックスのトレーダーでアパルーサ・マネージメント社創業者のデビッド・テッパー氏でした。
今年56歳になる同氏は、2013年のS&P500インデックスのリターンである32%を遥かに凌駕する42%以上のリターンを上げました。そして彼が手にした報酬は$3.5 billion(約3,500億円)でした。
彼の凄いところはこれだけではありません。さらに驚きなのは、旗艦ファンドの過去5年の年平均リターンは脅威の40%(手数料等差し引いたネットリターン)近いという事実です。
近年、ヘッジファンドのアルファ値が減少しているのが問題になってきています。
アルファ値とは、分かりやすく言えば「ファンドマネジャーの腕による収益率」です。プラスアルファという言葉があるように、ベータ値(幅広い市場指数に連動するリターン。いわゆるS&P500などのインデックス)に上乗せした収益率がアルファ値となります。
アルファ値が少なくなってきているということは、すなわちヘッジファンドマネジャーの腕が落ちてきているということですので、高い手数料を払ってわざわざヘッジファンドに投資する必要はなく、インデックスに投資すればよいわけです。
そのようなヘッジファンドに対する批判がある中で、デビッド・テッパー氏の成績は素晴らしいと思います。
3位以下のヘッジファンドマネジャーの報酬はいくら?
報酬額第3位になったのはSAC Capital Advisorsのスティーブ・コーエン氏でした。2013年にはインサイダー取引で有罪となり、$1.8 billion (約1,800億円)の罰金を支払うことに同意しましたが、それでも罰金を払っても余りある2.3 billion(約2,300億円)の報酬を手にしています。
そして、第4位はジョン・ポールソン氏でした。同氏はリーマンショック時、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)取引で大きなリターンを上げて莫大な収入を手にして、一躍時の人となったヘッジファンドマネジャーです。
2013年、彼のチームが運用する多くのファンドは好成績を収めました。特に大きなリターンを上げたのはリカバリーファンド(Recovery Fund)で、ネットリターン(手数料引き後)は63%でした。
ただ、唯一上手く行かなかったファンドは、自身の資産もつぎ込んでいるゴールドファンドで、マイナス28%でした。それでもポールソン氏が手にした金額は$1.9 billion(約1,900億円)でした。
第5位はCorporate Raider(乗っ取り屋)の異名を取るカール・アイカーン氏です。この方はこの手のランキングの常連さんです。
2013年度、アイカーン氏のファンドの成績は31%で、彼は$1.7 billion(約1,700億円)の報酬を手にしています。
ちなみにランキング10位のレオン・クーパーマン氏でも、30%のネットリターンを上げて $730 million(約730億円)の報酬を得ています。
大学院の授業でも取り上げられるファンドマネジャーの運用手法
前述しましたように、ヘッジファンドのアルファ値が年々減少傾向にあるのは事実ですが、やはり上位にランクインするヘッジファンドマネジャーが叩き出すリターンは驚異的です。
そしてもちろん手にする報酬額も桁外れです。
私はアメリカの大学院では金融を専攻しており、授業ではよくケーススタディを勉強していました。そのケーススタディは、M&Aにおける企業価値の導き出し方や、ウォーレン・バフェット氏の運用手法も題材にされており、非常に楽しいものでした。
ケーススタディは数多くこなしましたが、特に興味深かったのは前述した乗っ取り屋のカール・アイカーン氏の儲けの手法についてでした。
15年も前のことですので、ケーススタディの内容は詳しく覚えていませんが、「物言う投資家」として如何に企業価値を上げて行くかという、彼の手法には感銘を受けました。
私は金融工学を専攻していましたが、当初はウォール街で働くことにはそれほど興味がありませんでした。しかし、カール・アイカーン氏のケーススタディを終えた後、ニューヨークの金融街で働きたいと強く思ったのを覚えています。
最後は私の個人的なことを少し書いてしまいましたが、ウォール街には凄腕のヘッジファンドマネジャーがいるということでした。