2016年度版:アメリカで最もお金持ちトップ100人中19人が金融業界出身者

「フォーブス400」に28人のヘッジファンドマネジャーがランクイン

成績不振により資金流出が止まらないヘッジファンド業界ですが、それでも稼いでいる人は稼いでいるようで、アメリカで最もお金持ち上位400人中28人がヘッジファンドマネジャーです。

上位100人では金融業界出身者は19人で、そのうち8人がヘッジファンドマネジャーです。

以下は上位100にランクインしたヘッジファンドマネジャーです。

名前Forbes 400での順位資産額
George Soros19$24.9 billion
James Simons24$16.5 billion
Ray Dalio25$15.9 billion
Steve Cohen31$13 billion
David Tepper35$11.4 billion
John Paulson52$8.6 billion
Ken Griffin57$7.5 billion
Bruce Kovner90$5.3 billion

1ドル100円で計算しますとジョージ・ソロスの総資産額は約2兆5千億円となります。ちなみに「フォーブス400」にランクインしているヘッジファンドマネジャーの中で最下位(374位)だったLarry Robbins氏の総資産額は$1.8 billion(1800億円)です。

(参考元:America’s Richest Hedge Fund Managers In 2016Forbes 400

上位400人の総資産額は驚愕の2.4兆ドル!

「フォーブス400」の総資産額は2.4兆ドル(約240兆円)となり、一人当たり約6000億円になります。

年齢別に見てみますと一番多いのが60歳から79歳で、彼らの総資産額は1.3兆ドル(約130兆円)です。

業界別で見てみますと一番多いのがIT業界で、彼らの総資産額は$519 billionです。次に多いのが金融業界で、彼らの総資産額は$491 billionです。

昨年の「フォーブス400」の総資産額は2.3兆ドルでしたので、超富裕層の資産額は増え続けています。

二極化が進むアメリカでは、「中流階級」はもはや成人人口の過半数を占める「マジョリティ」ではなくなっており、富裕層と貧困層を合わせた人数より少なくなっています。

(参考元:The American Middle Class Is Losing Ground

アメリカンドリームは今も生きている

18歳から29歳のアメリカ人の約半数は「アメリカンドリームを信じていない」と言います。

(参考元:Half of Millennials Believe the American Dream is Dead

しかしながら、「フォーブス400」の多くは一代で莫大な資産を築き上げた”Self-Made-Man”(たたき上げ)です。そして、この内の10%以上が他国からの移民で、その内の14人はドナルド・トランプ次期大統領よりも多くの資産を築いています。

「この14人」の中には、グーグルの創業者のセルゲイ・ブリン、ジョージ・ソロス、イーロン・マスクなどがいます。

(参考元:More Than 10% Of The Forbes 400 Are Immigrants, 14 Of Whom Are Richer Than Trump

また、彼ら以外にも移民の成功者は多くいます。彼らの経歴に興味のある方は以下の記事を読んでみて下さい。

上記リンク先の記事で興味深いストーリーがありましたので、要約を以下にご紹介します。

1944年にハンガリーで生まれたThomas Peterffy氏は、二十歳の時に自由を求めてアメリカに移民してきました。当時、Peterffy氏は英語が話せず、所持金はほとんどゼロの状態でした。持っていたのは着替え、本、計算尺、そして先祖の肖像画のみでした。

ニューヨークに渡った同氏は、当時、ハンガリー移民の小さなコミュニティがあったマンハッタンのスパニッシュハーレムの安アパートを転々としながら、生活していました。

その後、Peterffy氏は調査会社で働くようになり、この仕事が後の彼の人生に大きく影響しました。

その調査会社がはじめてコンピュータを導入した時、誰も使い方を知りませんでした。そこで、Peterffy氏が「私に任せてください」と申し出て、プログラミングに挑戦しました。すぐにプログラミングを習得した同氏は、その後、ウォール街にある小さなコンサルティング会社に転職し、そこでトレーディングシステムを開発しました。

1970年代の後半、Peterffy氏はそれまで貯めた20万ドルを元手に電子トレードに特化した証券会社を設立。これが、今やアメリカ最大のオンライン証券会社の「インタラクティブ・ブローカーズ証券」です。

所持金もほとんどなく、英語もままならない状態でアメリカにたどり着き、安い賃金で働きながら夜学を卒業して、自分のビジネスを起こして成功する、というのが移民でありながらアメリカで成功する多くの人たちに共通していることです。極貧生活を耐え抜き、不撓不屈の精神で這い上がってきた「本物の人たち」のストーリーには勇気づけられます。

アメリカ生まれの若者が自信を失いつつある中、「野心家」が続々と「挑戦の国アメリカ」にやってきて、成功者へとのし上がって行きます。

「フォーブス400」の18%は20歳から39歳、21%は40歳から59歳です。今のアメリカは、昔と違って今ではアメリカンドリームを達成しにくい環境にあると言われています。しかし、「フォーブス400」の年齢構成を見てみますと、リスクを取ることを恐れず、目的と目標を持って正しい方向で努力をすれば、その努力は必ず報われるという「アメリカンドリーム」は今も続いているのが分かります。

最後に、今回の記事とは直接関係ありませんが、最近読んだ本をご紹介したいと思います。この本の著者の遠藤滋さんは三井物産に入社してアメリカと中国に永く駐在されていた方で、両国の人たちのマインドに関して鋭い考察をされています。

この本を読むと、なぜアメリカ人はリスクを取ることを恐れないのか、なぜアメリカ人はポジティブ思考なのかがよくわかります。

日本の手厚い社会保障制度と比べ、アメリカの社会保障制度は大変お粗末なものです。アメリカでは日本のような国民健康保険がありませんので、職を失うと医療保険がなくなります。

ただでさえ医療費が高額なアメリカで、医療保険を持たずに生活することは本当に恐ろしいことです。それにもかかわらず先進国中で自殺者の割合が低いのは、この「ポジティブ思考」が関係しているのではないかと私は思います(参考元:自殺対策支援センター ライフリンク)。

話を戻しますが、この本を読むと中国人の思考法はアメリカ人のそれとよく似ていることも分かります。これからアメリカ人や中国人相手に商売をされる方は、この本を読んでおいて損はないと思います。また、これからアメリカ留学をされる方にもおすすめの1冊です。


中国人とアメリカ人 自己主張のビジネス術 遠藤 滋 (著)

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