相場先生が考案した「リーディング練習」とは?
リーディング練習とは、相場師朗先生が考案したチャートリーディングの練習方法です。リーディング練習はその名の通り、株価チャートを左から丹念に読んで行く練習です。
相場先生が主宰する株塾の塾生さんは、毎日、このリーディング練習を行っています。
リーディング練習は単調な練習ですので、人によってはかなりの忍耐力を必要とします。目的意識を持って取り組まないと、途中で手抜きをしてしまいがちです。
ですが、この「単調な訓練の繰り返し」は、のちに驚くべき効果を発揮します。
答えを先に見る「逆算思考」の上達方法
私もやり始めの頃は「こんなことを毎日やっていて本当に上達するのか?」とか「チャートが見えている状態で練習して効果があるのか?」と思っていました。
しかしながら、毎日練習を継続してきたことで、本当に「変動感覚」が養われました。
つまり、答え(株価と移動平均線の動きの特徴)を先に見て、株価と移動平均線の関係を叩き込んでおくことで、移動平均線の傾きと順番から株価の流れが読めるようになるというわけです。
日経225の日足チャート
以下は日経平均の日足チャートです。
黄緑、黒、赤、ピンクの移動平均線が揃っているところを狙ってトレードしたら、利益が取れると思いませんか?
さらに言えばこの4本線と緑の傾きが同じ方向を向いている時にトレードしたら、大きな値幅が取れますよね?
難しく考える必要はありません。シンプルに考えればいいのです。左端から右端まですべての局面をトレードする必要はありません。
トレンドが明確で取りやすいところを一相場(ひとそうば)トレードして、利益を取ればいいのです。
トレードすべき場面が分かったら、次は「どうやったらこの場面でトレードできるようになるのか?」ということを考えます。
この場面でトレードできるようになるためには、株価と移動平均線の関係を理解しなければなりません。そのためには、正しい知識を得て、正しい方法で練習することが必要です。
その練習方法が今回ご紹介する「リーディング練習」です。
リーディング練習前の予備知識
リーディングを行う前に、各移動平均線の説明をします。相場師朗先生主宰の株塾では、9つの移動平均線の色を以下のように定めています。
- 3日移動平均線(ピンク)
- 5日移動平均線(赤)
- 7日移動平均線(黒)
- 10日移動平均線(黄緑) ※今は「草色」に変更
- 20日移動平均線(緑)
- 30日移動平均線(グレー)
- 60日移動平均線(青)
- 100日移動平均線(紫)
- 300日移動平均線(オレンジ)
以上は日足チャートの期間ですが、月足と週足チャートの場合も3,5,7・・・となり、同じ色を使います。
それでは日本精工のリーディングを行って行きます。
日本精工の日足を使ったリーディング練習 18/07~18/11
チャートの左端から読んで行きます。
移動平均線の並びは上からオレンジ、紫、青、緑・・・となっており、非常に弱い順番になっている。
株価は下落してきて1100円手前で下げ止まった。ここで黄緑、黒、赤、ピンクが重なってきた。その後、移動平均線の順番が入れ替わり、下から黄緑、黒、赤、ピンクとなる。
株価は小さな上げ下げを繰り返しながら下値を切り上げて行き、ついに黄緑、黒、赤、ピンクの束は緑を下から抜いてきた。
その後、株価は上昇して1200円の節目と青の60日線を越えた。次に株価は少し下げるが前の下値まで下げずに上昇して紫の100日線を越えた。
その後、再度株価は少し下げるが前の下値まで下げずに上昇。今度は100日線と1300円の節目を越えてきた。
底値から数えて3カ月間上昇したが、300日線まで届かずに下落した。やはり100日線が下を向いている間は上昇は長続きしないことが分かる。
それまで移動平均線の並びの順番は紫とオレンジを除くと下から青、緑、黄緑、黒、赤、ピンクだったが、赤とピンクが反転して黒と黄緑を上から割り込んだ。
そしてその4本の束は緑、青、紫を上から割り込んできた。株価はそのまま下げて1200円辺りで横ばいになるが、下を向いた黄緑に跳ね返されてさらに下落した。
株価は1100円辺りで横ばいになるが、下を向いている緑に対して「もの別れ」の形になって再び下落した。
日本精工の日足を使ったリーディング練習 18/02~18/06
次に別の期間をリーディングしてみます。
下落してきた株価は紫を割ってオレンジの300日線で下げ止まった。ここからチョイ上げするが下を向いている緑の20日線に跳ね返されて下落。
オレンジを少し割り込んでチョイ上げするが、下を向いている緑に当たって再び下落して1400円の節目を割った。下落9本目で陽線が出てチョイ上げするが、株価は横ばいになって再び1400円を割り込んだ。
その後、株価は下値を切り上げて黄緑、黒、赤、ピンクが重なってきた。次にこの4本の順番が入れ替わり、株価は上昇した。
株価は上昇して下を向いている青の60日線に接近したが、越えられずに下落。1400円まで下落して再びチョイ上げするが、青に当たって下落した。株価は1400円と1300円の節目も割り込んだ。
下落9本目で下げ止まり、株価はチョイ上げして黄緑、黒、赤、ピンクが交差した。移動平均線の並びは一時、下から黒、赤、ピンクとなった束は下を向いた黄緑と重なる。
この時の移動平均線の順番は上からオレンジ、紫、青、緑となっており、非常に弱い順番になっている。
黄緑、黒、赤、ピンクの束はこの流れに逆らえずに、再び下落した。
株価は青と紫の下に潜り、移動平均線の順番が上から紫、青になってくると、株価は長期の下落トレンドに入ることが分かる。
日本精工の日足を使ったリーディング練習 17/09~18/02
最後に上昇相場をやってみます。
株価は上昇してきて1500円の節目を越えた。その後、株価は横ばいになり黄緑、黒、赤、ピンクが収束してきた。この4本線が重なってきたら、それまでのトレンドは一旦終了となる。
次にこの4本の束は上を向いている緑に跳ね返されてさらに上昇した。この時、移動平均線の順番は下からオレンジ、紫、青、緑、黄緑、黒、赤、ピンクとなってきた。これは上昇力が一番強い並び。
株価はさらに上昇を続け1700円の節目を越えた辺りで横ばいになる。約1か月間の横ばいの後、株価は下落するが1600円手前で下げ止まって、反転上昇した。
移動平均線の順番が下からオレンジ、紫、青、緑、黄緑・・・となっている局面では、上昇力が強いことが分かる。
黄緑、黒、赤、ピンクの束は緑を下から抜いて上昇を続けた。日足9本目で横ばいになり赤、ピンクが重なるが、上を向いている黒に当たってさらに上昇した。
株価は1900円手前で失速して黄緑、黒、赤、ピンクが重なってきた。この4本の重なりはトレンドの終了のサインとなる。
その後、株価は下落して緑を割り込み1800円まで下げた。ここで株価は少し上昇するが、前の高値に届かずに下落した。そして、青を割り込み、1700円の節目も割り込んだ。
日本精工のリーディングで分かった株価と移動平均線の動きの特徴
このように株価の流れを読んでいくわけですが、リーディングの中でいくつかの気づきがありました。
- 黒が黄緑の上にある間は株価は上げている
- 黒が黄緑の下にある間は株価は下げている
- 株価が青と紫の上にある時は強く(上昇傾向)、下にある時は弱い(下落傾向)
- 株価が青と紫の上にある時は買いで勝負した方が有利
- 株価が青と紫の下にある時は売りで勝負した方が有利
- 黒、赤、ピンク(または黄緑も含む4本線)が重なったらトレンドは一旦終了
- 黄緑、黒、赤、ピンクの束が向いている方向に株価は動く
- 黄緑、黒、赤、ピンクがばらけている間は下げ止まらない(あるいは上げ止まらない)
- 前の高値に届かなかったら下落する
- 前の下値を切り上げたら上昇する
- W底を形成したら上昇する
- 節目や移動平均線に差し掛かると株価の動きに変化が表れる
- 上昇9本目、下落9本目あたりでトレンドに変化が表れる
ざっと挙げただけでもこれくらいあります。漫然とリーディングしていては気づかないことですが、丹念にリーディングして行くと、トレードで勝つためのヒントがいくつも発見できますね。
リーディング練習をすると売買ポイントがよく分かる
リーディング練習をするとエントリーするところと手仕舞うところがよく分かります。実際にチャートが見えた状態で練習をしているのですから、その通りです。
これは当たりまえのことですが、非常に重要なことです。
私も株価と移動平均線の関係を理解してからは、トレードがかなり楽になりました。難しく考える必要はありません。簡単なことです。
次回の記事では、別の銘柄を使ってもっと詳しくリーディング練習をして行きます。