同時通訳者の英語習得法に見た株式トレード技術上達の極意

「只管朗読」という英語勉強法

先日、同時通訳者の國弘正雄さんの本を読んでいた時、「トレード技術の習得にも同じことが言えるな」と思う記述を見つけました。

『言葉というのは、ある基礎的な段階にいたるまで、かなりの努力が必要です。十分間ルールの話をして、すぐに試合らしきものが出来るというわけではない。
(中略)
まして、それまで馴染んできた日本語とはまったく異質の音を口から出そうというのです。許容範囲の音が出るまでには、かなりの練習が必要です』

『要するに、英語を習得することに漠然とあこがれるはするが、これといった成果を上げられない人というのは、基本技術の習得に関して、見通しが甘すぎるのです』

『バットの素振りで、フンともスンとも音が出ない段階なのに、何かコツみたいなものを教えてもらえば、プロのピッチャーの一四〇キロのボールが打てるはずだと、無邪気に信じている。そういうことがありえないのは、経験者なら誰でも知っていることです』

(引用元:國弘流英語の話しかた 國弘 正雄 著

國弘さんは著書の中で、「英語を『只管朗読(しかんろうどく)』することこそが、英語を習得する唯一の道である!」と強調しています。この『只管朗読』とは、「ひと通り意味の分かった英文を、ひたすら音読すること」です。

使える英語を習得するために使う教材は、「中学の3年間で使った英語教科書」のみ。これをひたすら音読して、理屈を体に内在化させることにより、はじめて「英語の回路」ができあがるというわけです。つまり、「単純なことを愚直に繰り返す」ということです。

相場師朗先生は常々、「練習、練習、練習」と仰っています。

基本の型を習得して、正しい方法で毎日の練習を繰り返すことで基礎力がつき、頭に「トレードの回路」が出来上がるということです。

何かを究めた人の上達法は非常によく似ています。

練習を繰り返して「基礎回路」を作る

2017年11月21日放送の「相場師朗の株塾」で、相場先生はトレードで上手くいかない人の特徴を挙げていました。

『上手く行かない人の特徴』

  • 素直ではない
  • 継続ができない
  • 分かったと言ってそのままやってしまう
  • 練習をしない

素直でないと、どこかに自己流のやり方が加わってしまいますので、教わった通りにトレードできません。そして失敗します。何度も失敗して「このやり方ではだめだ」と思い込み、他のやり方を探し始めます。そして同じことの繰り返しです。

何か新しい技能や技術を身につけるためには、時間が掛かります。一朝一夕に身につく魔法のようなコツみたいなものはありません。大金を払って英会話スクールに通ったからといって、1年後にアメリカ人相手に丁々発止のやり取りができるような英語力を身につけるのは無理というものです。

株式トレードも同じです。習得には時間が掛かりますし、日々の勉強が必要です。

3つ目の「分かったと言ってそのままやってしまう」ですが、これはよくやってしまうことだと思います。相場先生の講義を聞けば「分かった」気がします。しかし、「分かったこと」と「出来ること」は違います。「分かった」だけでは、完全に自分のものになっていないため、実践トレードでは上手く行きません。これは私も何度も経験しています。

教わった通りにトレードできるようになるためには、やはり「練習」を続けることが上達の近道だということが分かってきました。

相場先生が言う「リーディング練習」は、國弘さんが言う「只管朗読」に当たると思います。

毎日のリーディング練習

リーディング練習の枚数ですが、私の場合、2000枚くらいまではあまり上達した感じがしませんでした。

その後、さらに継続して行き、5000枚を越えた辺りから、「おや!これまでとは何か手応えが違うぞ!」と感じ始めました。その後、さらにリーディング練習を継続したところ、加速度的に上達を感じるようになってきました。

こればかりは個人差がありますので、2000枚くらいで急速な上達を感じる人もいれば、5000枚でもまだの人もいることでしょう。ですが、5000枚もやれば、それまでと比べて明らかな違いが出ているはずですので、必ず手応えを感じるはずです。

まだ5000枚やっていない方は、だまされたと思ってやってみてください。

「分かった」ことと「出来る」ことは違う

ショットガン投資法で成功率の高いシグナルの「半分の法則」と「逆半分の法則」ですが、これを理解していないと失敗する可能性が高くなります。

たとえば、HOYA(7741)で「逆半分の法則」を解説したいと思います。

これは私が以前によくやっていた失敗です。天井圏と思ったところで大きな陰線が出現して5日線を割ったのを見て、「おっ!これはイケルぞ!」と思って空売りを入れます。

また、以下のようなところでも、ついつい空売りを入れたくなってきます。

その後、大きく下げると思ってそのまま売り玉を持ち続けると、7月下旬の大陽線で上に持って行かれます。

これは空売りを入れるタイミングが早すぎた例です。20日線がまだ上を向いている状態で空売りを入れても、高い確率で失敗してしまいます。

相場先生は、「半分の法則」や「逆半分の法則」を使う時は20日線の傾きにも注意するように教えていますが、深く理解することなく「分かったつもり」でこれらのシグナルを使ってトレードすると失敗します。

そして「なんだ、上手くいかないじゃないか」「このやり方はダメだな」と勘違いをして、練習を継続しなくなります。

動画を見ると分かった感じになるのですが、やり方を体にすり込ませていないため、実践トレードでは上手く行きません。やはり、繰り返しの練習無くして上達はないと私は実感しています。

ここ十数年あまりの間にアメリカ由来のマーケティング手法が変な形で導入されたせいか、「簡単」「お手軽」「素人でも〇〇日で・・・」などといった、軽いノリのキャッチコピーで紹介されているトレード手法が増えてきました。「楽をしてお金儲けをする」という考えは、元々日本人にはなかったものです。

良識のある大人であれば、このように手軽に習得できるトレード手法など存在しないことはお分かり頂けると思います。努力や練習もせずに片手間で稼げる手法などこの世に存在しません。成果を手に入れるためには「猛練習」が必要なのです。

最後は相場先生が、株塾勉強会でよく紹介される言葉で締めくくりたいと思います。

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